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ネットワーク・仮想スイッチとは?
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システム要件
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開始する前に
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基本モードと詳細モード
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ネットワークアダプターの設定
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IPv4およびIPv6ルートの設定
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静的ルートでトラフィックのパスをコントロールする
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システムのデフォルトゲートウェイで外部ネットワークにアクセスする
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仮想スイッチでネットワークインフラストラクチャを拡張する
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LAN スイッチングでネットワークトラフィックを最適化する
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デバイスを Wi-Fi で接続する
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追加で行うネットワーク設定と管理
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自動的なネットワーク設定のために、IP アドレシングサービスを設定する
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USB QuickAccess を用いてコンピューターを NAS に接続する
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ネットワークカードのファームウェアを更新する
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用語集
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ネットワークのアドレシングと識別
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ネットワークインターフェイスと接続
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ネットワークインフラストラクチャー
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ネットワーク性能と最適化
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ネットワーク接続性
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参考文献と情報源
本ガイドは、QTS 5.0.0 および QuTS hero h5.0.0 およびそれ以降のバージョンに適用されます。
ネットワーク・仮想スイッチとは?
ネットワーク・仮想スイッチは、QNAP オペレーティングシステムに組み込まれている管理ツールで、ネットワークインターフェイスの設定と管理、仮想スイッチ、QNAP NAS のネットワーク設定を行います。
このアプリケーションは、物理ネットワークと仮想ネットワークを統合し、ネットワークトラフィックの管理に柔軟性を与え、分離されたネットワークを作成し、さまざまなネットワーク化されているアプリケーションの性能を最適化します。ネットワーク・仮想スイッチは、お客様のネットワークにおけるローカルネットワークと仮想ネットワーク両方の管理に不可欠なものです。

システム要件
オペレーティングシステム:
- QTS
- QuTS hero
開始する前に
ネットワーク・仮想スイッチを使用する前に、以下の事項をご確認ください。
- ご自身が NAS 管理者である。
- ネットワークインターフェイスカードおよび関連するハードウェアすべてに互換性があり、正しくインストールされている。詳細については、互換性リストをご覧ください。
- 必要なネットワークトポロジーと設定が把握できている。具体的には、IP アドレス範囲、サブネットマスク、ゲートウェイ、DNS サーバー、ネットワークトポロジー (仮想スイッチ、VLAN,ポートトランキング) など。
- 必要なネットワーク情報がすべて集まっている。たとえば、IP アドレス範囲、サブネットマスク、ゲートウェイ、DNS サーバー、ネットワークデバイスやサービスのための資格情報。
- 設定上の不具合があった場合に復元がしやすいよう、既存のネットワーク設定をバックアップしておくことをお勧めします。詳細は、システム設定をバックアップするをご覧ください。
基本モードと詳細モード
ネットワーク・仮想スイッチには、2つのモードがあります。基本モードと詳細モードです。ネットワーク設定インターフェイスをお客様の経験レベルおよび具体的な設定要件に合わせ、基本モードと詳細モードのいずれかを選びます。それに応じて、利用可能なオプション、表示される情報、ユーザーインターフェイス要素が調整されます。

基本モード
このモードは、複雑なネットワーク機能の面倒な設定を行わずに、ネットワークを素早く簡単にセットアップしたいユーザー向けです。これは、基本的な接続性で十分で、シンプルに行いたい環境に適しています。基本モードでは、静的ルートや仮想スイッチといった高度なネットワーク機能は無効になります。詳細モード
このモードは、ネットワーク設定に複雑なコントロールを必要とするユーザー向けです。これは、特定の要件を満たすために、ネットワークトラフィックのカスタマイゼーションと最適化が必要な、複雑なネットワーク環境に適しています。詳細モードでは、静的ルートや仮想スイッチが有効になります。
ネットワークアダプターの設定
IPv4およびIPv6ルートの設定
インターネットプロトコル (IP) 設定を行い、それを管理することは、お使いのデバイスがネットワークに正しく接続されるために不可欠です。
- IPv4:IP アドレス割り当てでもっとも一般的なプロトコルで、大半のネットワークと互換性があります。
- IPv6:新しいプロトコルで、より大きなアドレス空間を提供し、セキュリティ機能が向上しています。
- NAS にログインします。
- [ネットワーク・仮想スイッチ]を開き、[ネットワーク] > [インターフェイス]に進みます。
- インターフェイスを識別し、
> [設定]に進みます。
- [IPv4]または[IPv6]を選択します。
- IP 設定を行います。
- IPv4 設定を行うには、IPv4 を設定するをご覧ください。
- IPv6 設定を行うには、IPv6 を設定するをご覧ください。
静的ルートでトラフィックのパスをコントロールする
静的ルートでは、ネットワークトラフィックが通る特定の経路を定めることができます。これは、特定のトラフィックを特定のゲートウェイやインターフェイスに向ける必要がある複雑なネットワークで特に有効です。
静的ルートによって次のことが可能になります。
- セキュリティと性能を向上させるためにネットワークをセグメント分けする。
- ネットワークトラフィックを、複数のデバイスを経由させて負荷分散する。
- ネットワークの可用性を確保するために冗長ルートを作る。
静的ルートを設定するには、[ネットワーク・仮想スイッチ]を開き、[詳細]モードを有効にしてから、[ネットワーク]>[ルート]に進みます。新たに静的ルートを作成するには、[追加]ボタンをクリックします。既存のルーティングエントリーは、[ルート]ページで見ることができます。
ルート設定を行うには、静的ルートを設定するをご覧ください。
システムのデフォルトゲートウェイで外部ネットワークにアクセスする
システムのデフォルトゲートウェイは、すべての送信トラフィックを NAS からインターネットやその他のリモートネットワークなどの外部ネットワークに向ける仮想ネットワーク設定です。この仮想ゲートウェイは、ローカルネットワークの外と通信するための、NAS に対するデフォルトのパスウェイとして動作します。
クラウドサービスやリモートバックアップ場所、外部サーバーなどの外部リソースにアクセスする場合、システムのデフォルトゲートウェイが、NAS と外部リソースのネットワークロケーション間をルーティングします。
- NAS にログインします。
- [ネットワーク・仮想スイッチ]を開き、[ネットワーク] > [インターフェイス]に進みます。
- システムのデフォルトゲートウェイをクリックします。
- ゲートウェイ割り当てを自動または手動に選択し、デフォルトゲートウェイを設定します。
- 任意: NCSIサービスを有効にします。注意QNAP NAS OS のさまざまなバージョン間での NCSI 設定を比較するには、QTS 5.2.0 や QuTS hero h5.2.0 に更新した後の NCSI の設定の違いについてをご覧ください。
デフォルトゲートウェイを設定するには、システムのデフォルトゲートウェイを設定するをご覧ください。
仮想スイッチでネットワークインフラストラクチャを拡張する
仮想スイッチは、ネットワークトラフィックをセグメント分けし、リソースの利用を最適化し、複数のネットワークインターフェイスを効率よく管理することで、ネットワークの柔軟性とセキュリティを高めます。仮想スイッチを VM やコンテナを物理ネットワークに接続するために使用することができ、それによって他のデバイスとの通信や外部リソースへのアクセス、およびそれらが同じネットワークにあるようなサービスを提供できるようになります。
- 分離されたネットワークセグメントの作成:特定のデバイスやサービスを他のものと分離し、セキュアにするには、仮想ネットワークを別に設定します。
- 物理ネットワークと仮想ネットワークのブリッジ:仮想マシンやコンテナを物理ネットワークにリンクすることで、それらの間でのシームレスな通信が可能になります。
- NAS にログインします。
- 側面パネルの [詳細]をクリックします。
- [ネットワーク] > [仮想スイッチ]に進みます。
- [追加]をクリックします。
仮想スイッチの作成 ウィンドウが表示されます。 - 仮想スイッチ設定モードを選択します。
- 仮想スイッチを設定します。
仮想スイッチを作るには、QTS ユーザーガイドまたはQuTS hero ユーザーガイドの「仮想スイッチの設定」をご覧ください。
LAN スイッチングでネットワークトラフィックを最適化する
LAN スイッチングは、ローカルネットワーク内のデータを方向づけし、デバイス間の通信を効率的にします。VLAN (仮想ローカルエリアネットワーク) やポートトランキングなどの中核技術により、ネットワークのセグメンテーションが行われ、帯域が増加することで、LAN スイッチングが強化されます。VLAN は、ひとつのネットワークを複数のセグメントに分離し、セキュリティとトラフィック管理を向上させます。同時に、ポートトランキングは複数のネットワークリンクを束ねることで、性能を高め、冗長化を実現します。
機能 | 説明 |
---|---|
ポートトランキング | 複数のネットワーク接続をひとつの論理リンクにまとめることで、帯域を増やし、冗長化を実現します。 |
VLAN | 物理ネットワークを複数の論理ネットワークに分けて、トラフィックを分離し、セキュリティと管理を向上させます。 |
ポートトランキングおよび VLAN の設定は、LAN スイッチングの設定をご覧ください。
デバイスを Wi-Fi で接続する
ネットワーク・仮想スイッチで、お使いのデバイスの Wi-Fi 接続を設定し、管理することができます。Wi-Fi を設定することで、物理ケーブルを使わずにネットワークに接続することができます。
- NAS にログインします。
- [ネットワーク・仮想スイッチ]を開き、[ネットワーク]>[インターフェイス]> [Wi-Fi]に進みます。
- [Wi-Fi の追加]をクリックします。
- ワイヤレスネットワークを設定する:
- ワイヤレスネットワーク名 (SSID) を入力します。
- 暗号化タイプを選択します (WPA2-Personal を推奨)。
- ネットワークパスワードを入力します。
- [接続]をクリックします。
ワイヤレス設定を行うには、ワイヤレスネットワークの設定をご覧ください。
- お使いの NAS を無線ベースステーションとして、またはアクセスポイント (AP) として使うには、まず対応する PCIe 無線ネットワークカードをインストールしてから、App Center から WirelessAP Station をダウンロードし、インストールします。インストレーションを行った後、ネットワーク・仮想スイッチを開き、[ネットワーク >[インターフェイス]>[WirelessAP Station]に進み、無線アクセスポイントを設定します。詳細は、WirelessAP Stationをご覧ください。
- Wi-Fi を有効にするには、[ネットワーク >[インターフェイス]> [Wi-Fi]に進み、
をクリックします。
追加で行うネットワーク設定と管理
自動的なネットワーク設定のために、IP アドレシングサービスを設定する
IP アドレシングサービスは、デバイスに一意の数字の識別子を割り当てることで、ネットワーク通信のための基本的なインフラストラクチャを構築します。DHCP などのサービスは、ネットワークデバイスへの IP アドレス割り当て処理を自動化し、DDNS はドメイン名に動的に割り当てられた IP アドレスへの解決に利用されます。
USB QuickAccess を用いてコンピューターを NAS に接続する
USB QuickAccess 機能を使うことで、コンピューターを USBケーブルで NAS に直結させることができ、NAS のデータおよびサービスにアクセスする代替手段となります。これは、従来のネットワーク接続によらずに素早く NAS にダイレクトアクセスする便利な方法で、トラブルシューティングやデータ転送における効率的なツールとなります。
ネットワークカードのファームウェアを更新する
ネットワークの性能とセキュリティを維持する上で、お使いのネットワーク拡張カードのファームウェアを最新に保つことが重要です。インストールされているネットワークカードのファームウェアは、ネットワーク・仮想スイッチで直接更新することができます。定期的にファームウェア更新を行うことで、最新のネットワークプロトコルに対応でき、ネットワーク接続の全体的な安定性が向上します。
詳細は、IP アドレシングサービス設定、USB QuickAccess 設定、ネットワーク拡張カードのファームウェアを更新するをご覧ください。
用語集
ネットワークのアドレシングと識別
- DDNS (Dynamic Domain Name System): Dynamic Domain Name System (DDNS) は、動的 IP を用い、IP アドレスが変更された場合にドメイン名の DNS レコードを自動的に更新し、デバイスへのアクセスを維持できるようにします。
- IP アドレス (IPv4 および IPv6): IP アドレスは、ネットワーク上のデバイスそれぞれに割り当てられている一意の数字の識別子で、データのルーティングに利用されます (IPv4 では32ビット、IPv6 では 128ビットのアドレスが使用されます)。
ネットワークインターフェイスと接続
- インターフェイス: インターフェイスは、デバイスにあるネットワーク接続点で、デバイスとネットワークの間でのデータの送受信に使われます。
- PCIe Wi-Fi: PCI Express (PCIe) Wi-Fi は、PCIe スロットでコンピューターに接続される無線ネットワークインターフェイスカードで、高速な無線接続を可能にします。
- USB Wi-Fi: USB Wi-Fi は、無線ネットワークアダプターのことで、USB ポートでコンピューターに接続され、コンピューターが Wi-Fi ネットワークにアクセスできるようにします。
- USB QuickAccess: USB QuickAccess は、USB 接続によって NAS (Network Attached Storage) デバイスに直接アクセスできるようにする機能で、ネットワークをバイパスするためファイル転送が速い特長があります。
ネットワークインフラストラクチャー
- LAN (Local Area Network): 限定された地理的エリア (家庭やオフィス、建物など) 内で、Ethernet や Wi-Fi を使用してデバイスを接続するネットワークです。
- WAN (Wide Area Network): 広い地理的エリアにまたがるネットワークで、複数の LAN を接続し、通信回線や衛星リンクが用いられることが一般的です。
- ワイヤレス AP (アクセスポイント): ワイヤレスデバイスを有線ネットワークに接続できるようにするデバイスで、LAN 内の無線通信のハブとなります。
- 仮想スイッチ: 仮想化環境内の仮想マシンやネットワークインターフェイスの通信を可能にするソフトウェアベースのスイッチで、物理スイッチと同様な機能をもちます。
- システムのデフォルトゲートウェイ: システムのデフォルトゲートウェイは、ルーターまたはネットワークデバイスで、トラフィックがローカルネットワークから出ていく際の主たる脱出点となり、トラフィックをインターネットなどの外部ネットワークに誘導します。
ネットワーク性能と最適化
- トランキング: トランキングは、複数のネットワーク接続をひとつの論理リンクにまとめることで、帯域を増やし、冗長化を実現する手法です。
- 経路 (ルート): ネットワークトラフィックがネットワークのルーティングテーブルに基づいて、ソースデバイスからデスティネーションデバイスに至るまでに通る規定されたパスです。
ネットワーク接続性
- Wi-Fi: 電波を用いる無線ネットワーキング技術で、高速インターネットや、近距離でのネットワーク接続を実現します。
参考文献と情報源
- ネットワーク・仮想スイッチ: ネットワーク・仮想スイッチの QNAP 公式ランディングページ
- ナレッジベース: FAQ、チュートリアル、Web ヘルプのデータベース (検索可能)
- QNAP College: 使い方に関する動画ベースのチュートリアル
- ダウンロードセンター: 最新ファームウェアファイル、ハードウェアユーザーガイド、その他の情報がダウンロード可能
- 互換性リスト: QNAP デバイスと互換性のあるネットワーク拡張カードの一覧
- QTS ユーザーガイド: ネットワーク・仮想スイッチの詳細を記述した章を含む、QTS の再新バージョンに関する Web ヘルプ
- QuTS hero ユーザーガイド: ネットワーク・仮想スイッチの詳細を記述した章を含む、QuTS hero の最新バージョンに関する Web ヘルプ