リアルタイム SnapSync を設定するためのベストプラクティス


最終更新日: 2022-08-01

はじめに:

SnapSyncは、バックアップ、データ保護、ディザスタリカバリを目的としてQuTS heroに組み込まれているコスト効率のよい、使いやすい統一的複製ソリューションです。
SnapSyncは、プライマリとセカンダリのストレージシステム上にある共有フォルダ/LUNの間をミラーリングするよう設定されています。これは、プライマリに加えられた変更を速やかに反映し続けるよう、周期的に複製を同期します。このミラーリングされたデータは、セカンダリストレージシステムに作成されます。プライマリサイトに事故があった際には、データをセカンダリからフェイルオーバーできます。SnapSyncにより、ディザスタリカバリソリューションの総コストが減少し、ディザスタリカバリサイトを通常のビジネス利用することで投資の妥当性を得やすくなります。

SnapSyncの動作:

ブロックレベルのSnapSync機能は、スナップショットで可変ブロックをバックアップできますが、これは軽量で帯域をあまり使わないため、重要なファイルを離れた場所に効率よくバックアップできます。増分レプリケーションにより、同じデータが2度送られることはありません。SnapSyncの複製に必要なのはフルバックアップと最後の差分バックアップだけなので、復元時間も他の手法よりも高速です。

より高度なリアルタイムSnapSync機能では、プライマリとセカンダリのNASが常時同期されるようになります。

 

リアルタイムSnapSyncでは、ホストサーバーへ応答を返す前に、プライマリとセカンダリのNAS上のデータが完全に書き込まれることを保証します。これは、RPO=0 (Recovery Point Objective) を保証し、セカンダリNASのデータがプライマリNASと整合するようになります。災害発生時には、ホストサーバーはフェイルオーバー時にマウントターゲットを即座にセカンダリNASに変更します。

大型のストレージシステムを構築する場合は、SnapSyncを用いてセカンダリNASを設定し、Snapshot ReplicaとHBS3を使用してセカンダリNASから別のバックアップNASに対して定期的なマルチバージョンバックアップを実施することをお勧めします。

QES NAS (QES 2.1.1 v11以降) は、QuTS hero NASへのSnapSyncをサポートします。

 

災害発生時の動作は?

 

注: SnapSyncを使用する前に、両方のNASに同じドメインサーバー (AD/LDAP) を追加し、プライマリNASに障害が起きた場合にセカンダリNASのデータでも同じユーザー権限を提供できるようにしておきます。

リアルタイムSnapSyncを設定するためのベストプラクティス

リアルタイムモードでは、ローカルストレージへの全書き込み動作が直ちにリモートサイトに複製されます。良好な性能を保つためには、ローカルサイトとリモートサイト間の往復遅延は 5 ms 以下である必要があります。遅延が大きいと、ローカルストレージで書き込み遅延が発生します。そのため、設定時には以下の事項にご注意ください。

  • ネットワーク環境の遅延は極力10ms以下になるように
    してください (5ms以下が理想的です)
  • セカンダリNASのI/O性能はプライマリNASのそれと同じでなければなりません。
  • プライマリとセカンダリのNASを25GbEで直結することをお勧めします。

QNAP LabsからのリアルタイムSnapSyncの性能ベンチマーク:

  • iSCSIプロトコルによる試験:ユーザーが10GbEでQuTS hero NASに接続する場合、SnapSyncを有効にする前には10GbEのファイル転送は1127 MB/秒に達し、リアルタイムSnapSync実施時には効率は1005MB/秒となります。これは10%~15%の落ち込みとなります。
  • SMBプロトコルによる試験:ユーザーが10GbEでQuTS hero NASに接続する場合、SnapSyncを有効にする前には10GbEのファイル転送は1025 MB/秒に達し、リアルタイムSnapSync実施時には効率は930MB/秒となります。これは10%~15%の落ち込みとなります。
  • NFSプロトコルによる試験:ユーザーが10GbEでQuTS hero NASに接続する場合、SnapSyncを有効にする前には10GbEのファイル転送は961 MB/秒に達し、リアルタイムSnapSync実施時には効率は897MB/秒となります。これは7%~15%の落ち込みとなります。

 

テスト環境:

  • IOモード : sync = 標準 および sync = なし
  • ブロックサイズ = 128K
  • ジャンボフレーム (MTU) = 9000
  • 同じ環境において同じ試験を10GbEで接続した場合、ネットワーク接続と遅延の影響のためにリアルタイムSnapSync後の落ち込みは約20%まで増えます。

メリット:

ダウンタイムの減少とデータ損失に対する保護
SnapSyncは、スケジュールに応じたリアルタイムの複製が可能です。これにより、Recovery Point Objectives (RPO) を数秒にすることができます。もっとも厳しい書き込み集中型ワークロードに対しても厳格なリカバリ オブジェクティブを達成できます。

利用するネットワーク帯域の減少:
SnapSyncは、圧縮/重複排除を使いながらネットワークに増分ブロックを送出することで、ストレージの効率性を活用し、データ転送を高速化し、利用するネットワーク帯域を減少させます。SnapSyncを使うことで、ひとつのシン・レプリケーションを活用してアクティブなミラーとなる単一のリポジトリを作成します。

大きなデータを簡単に分配:
大量のデータを送信したり、サーバールームのアレイの移行、リモートオフィスの統合、新しい支店の開設などが必要になることがあります。SnapSyncは、データ移動用の高速、高効率、柔軟な手法を提供します。地理的に分散していてあらゆる場所が同じデータセット (トレーニングビデオや販売資料など) にアクセスする必要がある場合、SnapSyncを使用して同じデータをすべての場所に素早く分配できます。

CDM (Copy Data Management) とデータ分析:
広範に及ぶ分析を実施することはビジネスにとって重要ですが、本番環境には性能上の影響が出かねません。SnapSyncとスナップショットにより、セカンダリのデータコピー上で複製されたデータを活用して複雑な分析を実行できます。

データ保管、コンプライアンス、マルチバージョン要件:
多くのユースケースでは、長いデータ保管期間が求められます。SnapSyncとスナップショットを組み合わせることで、データ保護のためのコンプライアンス要件を満足させることができます。スナップショットバックアップは、ランサムウェアの影響を緩和することに役立ち、リアルタイムSnapSyncにより可用性とディザスタリカバリが優れたものになります。

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