QNAP NAS ストレージおよびファイバーチャネルを用いた基本 Xsan 環境の設定


最終更新日: 2020-08-12


QNAP NASとXsanについて

Xsanは、Appleのクラスターファイルシステムで、複数のmacOSワークステーションが共有ストレージ領域にアクセスできるようにするものです。Xsanにより、複数のクライアントが同じファイルに対し同じファイル内容を見ながら同時に読み書きできるようになります。本書では、ファイバーチャネル (FC) ネットワークを介してQNAP NASストレージ領域を使用するXsanの簡単な設定をご紹介します。

ロール

ハードウェア

インストールされているソフトウェア

Xsan MDC (メタデータコントローラー)

  • Apple Mac Pro
  • Mac ProのThunderboltポートに接続されたThunderbolt - FCアダプター
  • macOSの最新バージョン XsanとmacOSの互換性に関する詳細は、https://support.apple.com/en-us/HT200111をご覧ください。
  • macOS Server 5.9 app
  • 最新のThunderbolt - FCアダプタードライバー

Xsanクライアント

  • Apple Mac Pro
  • Mac ProのThunderboltポートに接続されたThunderbolt - FCアダプター
  • macOSの最新バージョン XsanとmacOSの互換性に関する詳細は、https://support.apple.com/en-us/HT200111をご覧ください。
  • macOS Server 5.9 app
  • 最新のThunderbolt - FCアダプタードライバー

共有ストレージ

FCカードがインストールされたQNAP NAS

NASとFCカードの互換性に関してはhttps://www.qnap.com/go/solution/fibrechannel-sanをご覧ください。

QTSの最新バージョン

イーサネットスイッチ

  • ギガビットイーサネット
  • イーサネットケーブル、イーサネットスイッチをNAS、Xsan MDC、そして各Xsanクライアントに接続。

該当なし

ファイバーチャネル (FC) スイッチ

  • FCスイッチ
  • FCケーブル、FCスイッチをNAS、Xsan MDC、そして各Xsanクライアントに接続。

該当なし

ストレージ構成

Xsanボリュームは、3種類 (ユーザーデータ、ファイルメタデータ、ファイルジャーナルデータ) のデータストレージ領域が必要です。

データタイプ

使用領域

推奨のRAID構成

デモ用の構成

メタデータ

1千万ファイルあたり約10 GB

RAID 1

  • RAID 1
  • 30 GB
  • メタデータとファイルジャーナルデータで共有されている領域

ファイルジャーナル

ボリューム64 KB~512 MB

RAID 1

ユーザーデータ

ユーザーによる

  • RAID 5
  • ユーザーデータ領域は性能向上のためにメタデータとファイルジャーナルとに分離されます。
  • RAID 5
  • 500 GB

Xsan MDC (メタデータコントローラー) の設定

  1. macOSを最新バージョンに更新します。
  2. macOSがその時刻と日付をネットワークタイムプロトコル (NTP) サーバーを使用して自動的に設定するようにします。
    重要: 時刻のずれを防止するために、Xsan環境内の全コンピューターはいずれも同じNTPサーバーを使用しなければなりません。
  3. MDCのホスト名はDNS解決可能でなければなりません。
    ヒント: 小規模のネットワークでは、アプリケーション dnsmasq をMDCにインストールするという簡易な方法があります。次に、MDCのIPアドレスをDNSサーバーとして使用するよう、Xsan環境内の各コンピューターを設定します。
  4. Apple Appストアから macOS Server アプリをダウンロードします。
  5. インストール macOS Serverを押します。
  6. Thunderbolt - FC接続を作成します。
    1. 最新のFCアダプタドライバーをインストールします。
    2. Thunderbolt - FCアダプターをコンピューターに接続します。
    3. アダプターのユーティリティソフトウェアでFC接続を確認します。

Xsanクライアントの設定

Xsan環境内の各クライアントで次のステップを実行します。

  1. macOSを最新バージョンに更新します。
  2. macOSがその時刻と日付をネットワークタイムプロトコル (NTP) サーバーを使用して自動的に設定するようにします。
    重要: 時刻のずれを防止するために、Xsan環境内の全コンピューターはいずれも同じNTPサーバーを使用しなければなりません。
  3. MDCのホスト名はDNS解決可能でなければなりません。
    ヒント: 小規模のネットワークでは、アプリケーション dnsmasq をMDCにインストールするという簡易な方法があります。次に、MDCのIPアドレスをDNSサーバーとして使用するよう、Xsan環境内の各コンピューターを設定します。
  4. Thunderbolt - FC接続を作成します。
    1. 最新のFCアダプタドライバーをインストールします。
    2. Thunderbolt - FCアダプターをコンピューターに接続します。
    3. アダプターのユーティリティソフトウェアでFC接続を確認します。

QNAP NASの設定

  1. FCカードがインストールされたQNAP NASを準備します。
    対応するNASデバイスとファイバーチャネルカードについては、https://www.qnap.com/solution/fibrechannel-sanをご覧ください。
  2. メタデータとジャーナルデータLUNを作成します。
    1. QTSにログインします。
    2. [ストレージとスナップショット] > [ストレージ] > [ストレージ/スナップショット]に進みます。
    3. [作成]をクリックし、[新しいストレージプール]を選択します。
      ストレージプール作成ウィザードウィンドウが開きます。
    4. [次へ]をクリックします。
    5. [ディスク選択] で、ディスクを2台選び、RAIDタイプをRAID 1を押します。
    6. [次へ]をクリックしてから、[次へ]をもう一度クリックします。
    7. [作成] をクリックし、[OK] で確認します。
      QTSはストレージプールを作成した後、[ストレージ/スナップショット] 画面に情報を表示します。ウィンドウが開き、新しいボリュームを作成するかどうかを聞かれます。
    8. [閉じる]をクリックします。
      [ストレージ/スナップショット] に戻ります。
    9. [作成]をクリックした後、[新しいブロックベース LUN]を選択します。
      [ブロックベース LUN 作成ウィザード]が開きます。
    10. [ロケーション] の下で、前のステップで作成したRAID 1プールを選択します。[シックインスタント割り当て] を選んでから、[次へ] をクリックします。
    11. LUN名とLUN容量を指定してから、[次へ] をクリックします。
    12. [終了]をクリックします。
      QTS が LUN を作成します。
  3. ユーザーデータLUNを作成します。
    1. メタデータとジャーナルデータストレージを作成したのと同じステップで行いますが、今回は次のオプションを選択します。
      • 合計ディスク: 3
      • RAID タイプ: RAID 5
    2. メタデータとジャーナルデータLUNを作成したのと同じステップで行いますが、今回は次のオプションを選択します。
      • ロケーション: RAID 5ストレージプール
  4. 各LUNをFCポートにマップします。
    1. QTSにログインします。
    2. [iSCSIとファイバーチャネル] > [ファイバーチャネル] > [FCストレージ] に進みます。
    3. [アンマップ済LUN] の下でユーザーデータLUNを選択します。
    4. [アクション]をクリックし、[LUN マッピングの編集]を選択します。
      LUN マッピングの編集ウィンドウが開きます。
    5. [FCポートグループにマップ] を選択した後、[すべてのFCポート] を選択します。[LUNを有効化するがLUNマスキングを設定しない (どのFCイニシエータもLUNを見ることができる)] を選択した後、[OK] をクリックします。
    6. メタデータとジャーナルデータLUNをマップするために上記のステップを繰り返します。
      LUNは [デフォルト - すべての FC ポート]を押します。
  5. LUNをマップした後、MDCおよびすべてのクライアントでmacOSを警告メッセージが表示されることがあります。そのメッセージが表示された場合は、[無視] をクリックしてください。

Xsanのトポロジー

基本的なXsanのトポロジーの例を以下に示します。

これは、MDCとクライアント1台がNASのFCポートに直結されているという単純な形です。

  • ファイバーチャネル (FC)
    • すべてのクライアントとNASをFCケーブルで接続します。
    • 性能は、NAS FCカード、SFPトランシーバー、FCケーブル、Thunderbolt - FCアダプター、FCスイッチの帯域によって変わります。
  • イーサネット
    • すべてのコンピューターとNASをギガビットルーターまたはギガビットスイッチにイーサネットケーブルで接続します
    • Appleは、Xsan環境内のすべてのコンピューターを接続する次の3つの独立したイーサネットネットワークを作ることを推奨しています。インターネット、 Distributed LAN Client (DLC)、メタデータ説明を簡単にするために、本チュートリアルではメタデータネットワークだけを作成します。
    • Xsanネットワーク内の書くコンピューターにスタティックIPアドレスを割り当て、すべてのコンピューターが正しいDNSエントリーをもつようにします。
      ヒント: IPアドレスの割り当てにDHCPサーバーを使用したい場合には、ルーターの設定でそれぞれのIPアドレスをスタティックとして予約します。

Xsanの設定

  1. MDCにログインします。
  2. macOSをスリープしない設定にします。
    1. [Appleメニュー] > [システム環境設定] > [省エネルギー] に進みます。
    2. [バッテリー] 画面で、macOSのバージョンに応じて次のいずれかの操作を行います。
      • [コンピュータのスリープ] をなしを押します。
      • [ディスプレイがオフのときはコンピュータを自動でスリープさせない] を選択。
    3. 同じ操作を [電源アダプタ] 画面でも行います。
  3. [macOS Server] > [高度] > [Xsan] に進みます。
  4. Xsanサービスを有効にします。
    Xsan Getting Startedウィザードが開きます。
  5. [新しいSANを作成] を選択し、[次へ] をクリックします。
  6. MDCでオープンディレクトリが有効になっていない場合は、ウィザードに従いオープンディレクトリを設定します。
  7. 重複しないSAN名を指定します。
  8. ディレクトリ管理者のログイン名とパスワードを入力します。
    この資格情報はオープンディレクトリの設定時に指定するものです。
  9. ウィザードに従い設定を完了します。

Xsanボリュームの作成

  1. MDCにログインします。
  2. [macOS Server] > [高度] > [Xsan] に進みます。
  3. [ボリューム] の下の [+] をクリックします。
  4. 重複しないボリューム名を指定します。
  5. ボリューム設定を行います。
    このチュートリアルでは、デフォルトの設定を使用します。
  6. NASストレージをそのボリュームに割り当てます。
    1. ストレージプールリストの中から、メタデータとジャーナルデータストレージプールを選びます。
    2. [編集]をクリックします。
      ストレージプールの編集ウィンドウが開きます。
    3. [タイプ] の下で、[メタデータとジャーナル] を選択します。
    4. メタデータとジャーナルLUNにわかりやすい名前をつけます。
    5. メタデータとジャーナルLUNのチェックボックスにチェックを入れ、[OK] をクリックします。
      ストレージプールの編集ウィンドウが閉じます。
    6. ストレージプールリストの中から、ユーザーデータストレージプールを選んでから、[編集] をクリックします。
      ストレージプールの編集ウィンドウが開きます。
    7. [タイプ] の下で、[ユーザーデータのみ] を選択します。
    8. ユーザーデータLUNにわかりやすい名前をつけます。
    9. ユーザーデータLUNのチェックボックスにチェックを入れ、[OK] をクリックします。
      ストレージプールの編集ウィンドウが閉じます。
  7. ボリューム画面で、[作成] をクリックします。
    ストレージ領域内の全データが削除される旨の警告が出ます。
  8. 確認の [OK] を押します。

これでボリュームが作成されます。新しいボリュームがXsanボリュームリストに表示されます。

XsanプロファイルをもつXsan SANクライアントの設定

Xsanは、SANによって生成される構成プロファイルを与えることでクライアントを設定します。プロファイルを手動で適用する方法と、プロファイルマネージャーを使用する方法の2種類があります。ここではクライアントに手動で設定を適用します。Xsan環境内の各クライアントで次のステップを適用します。

  1. MDCにログインします。
  2. [macOS Server] > [高度] > [Xsan] に進みます。
  3. [構成プロファイルを保存] をクリックします。
  4. できあがった構成プロファイルファイルが保存されます。
  5. 構成プロファイルをクライアントにコピーします。
    ヒント: ファイルはイーサネット経由あるいはUSBフラッシュドライブでクライアントコンピューターにコピーし、保存できます。
  6. クライアントコンピューターで、構成ファイルをダブルクリックします。
  7. 表示に従い、構成プロファイルをインストールします。
    この処理では、MDCおよびクライアントの管理者パスワードの入力が必要になります。
  8. 次のようなエラーが表示された場合、 CPDomainPlugin:101次の回避策を行います。ターミナルを用いたXsanクライアントの設定.
  9. 上記の手順を各Xsanクライアントに対して繰り返します。

ターミナルを用いたXsanクライアントの設定

Xsan構成プロファイルでクライアントを設定する場合、次のようなエラーが表示されることがあります。 CPDomainPlugin:101を押します。このエラーが起きた場合は、対応策として次の手順をお試しください。

  1. MDCにログインします。
  2. Finderを開き、[/Library/Preferences/Xsan/] に進みます
  3. ホットキーを押しながら隠しファイルを表示します。[Command] + [Shift] + [ .] (ピリオド)を押します。
  4. [/Library/Preferences/Xsan/.auth_secret] ファイルのコピーを作り、[auth_secret] という名前をつけます。
    このコピーにはファイル名の先頭にピリオドをつけません。これでシステムファイルではなくなり、クライアントにコピーができるようになります。
  5. 次のファイルをMDCからクライアントコンピューターにコピーします。
    • /Library/Preferences/Xsan/fsnameservers
    • /Library/Preferences/Xsan/auth_secret
    • /Library/Preferences/Xsan/config.plist
  6. クライアントにログインします。
  7. [Fsnameservers]fsnameservers] ファイルを [/Library/Preferences/Xsan/] にコピーします。
  8. [config.plist] を編集します。
    1. テキストエディタで [config.plist] を開きます。
    2. ファイルの中で次の行を探します。
      <key>role</key><string>CONTROLLER</string>
    3. 次のように CONTROLLERCLIENTに置き換えます。
      <key>role</key><string>CLIENT</string>
    4. 変更を保存した後、[config.plist] を [/Library/Preferences/Xsan/] に移動します。
  9. 次の一行のコマンドで [Auth_secret] ファイルクライアントに移動させます。
    sudo mv / [your_file_path_here]/auth_secret /Library/Preferences/Xsan/.auth_secret
    重要: このコマンドで、ファイルの先頭に「.」がつけられます。
  10. 次のコマンドでクライアントにXSANをロードします。
    sudo launchctl load -w /System/Library/LaunchDaemons/com.apple.xsan.plist

Xsanボリュームのマウント

この手順をクライアントすべてに対して行い、MDCに追加します。

  1. macOSでターミナルを開きます。
  2. 次のコマンドを入力してボリューム名を表示させます。
    xsanctl list
  3. 次のコマンドを入力してボリュームをマウントます。
    xsanctl mount [ボリューム名] このチュートリアルでは、このコマンドはxsanctl mount volume1を押します。

マウントされたボリュームがFinderに表示されます。

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