QNAP NAS で iSCSI ターゲットサービスを作成し、使用する方法


最終更新日: 2023-07-20

「高 ROI のネットワークストレージソリューションを導入する簡単でシンプルな方法」


  1. iSCSI の導入とその利点
    まず始める前に
  2. iSCSI ターゲットの作成
  3. iSCSI LUN の作成
  4. iSCSI ターゲットと LUN の管理
  5. Windows で Microsoft iSCSI イニシエーターを利用し、iSCSI ターゲットに接続する
  6. Mac OS で globalSAN iSCSI イニシエーターを利用し、iSCSI ターゲットを作成する
  7. Linux で Open-iSCSI イニシエーターを利用し、iSCSI ターゲットに接続する
    追加の Linux コマンド。
  8. 参照:ブロックベース LUN とファイルベース LUN の機能比較

1. iSCSI の概要およびその利点

iSCSI (Internet Small Computer System Interface) は、データストレージ設備を接続するための IP (Internet Protocol) ベースのストレージネットワーキング標準です。SCSI コマンドを IP ネットワークで運ぶことで、iSCSI は場所に拘束されないデータストレージを作り、LAN (Local Area Networks) や WAN (Wide Area Networks) を越えてやりとりするために利用できます。

iSCSI を使うことで、コンピューターやサーバー、仮想マシンなどのクライアントが QNAP NAS のストレージを仮想ディスクとして利用できるようになります。クライアントは仮想ディスクをローカルディスクと同じようにパーティションやフォーマットして利用でき、拡張ストレージやバックアップ先としても利用できます。

始める前に

iSCSI ターゲット:iSCSI ストレージサーバー。このチュートリアルでは、ターゲットはお使いの NAS です。

iSCSI イニシエータ:iSCSI クライアント。イニシエーターはターゲットに接続し、そのストレージを使用します。

警告:同じターゲットに複数のイニシエーターを接続すると、NAS にデータ損失や損傷を起こすことがあります。

2. iSCSI ターゲットの作成

  1. [ストレージ&スナップショット] > [iSCSI ストレージ]に進みます。
    初めて iSCSI を使う場合、QTS が iSCSI サービスを
    有効化するように求めます。
  2. [新しい iSCSI ターゲット]をクリックします。

    iSCSI ターゲット作成ウィザードが開きます。
  3. [次へ]をクリックします。
  4. 名前とエイリアスを入力してから、[次へ]をクリックします。
  5. 任意:CHAP 認証を設定してから、[次へ]をクリックします。
    イニシエーターは、接続時に
    特別のユーザー名とパスワードで認証する必要があります。
  6. 任意:[iSCSI LUN を作成し、それをこのターゲットにマッピング]を選択します。
    ターゲットを作成し終わった後、QTS がブロックベースの iSCSI
    LUN 作成ウィザードを開きます。このウィザードに従い、ブロックベース LUN を作成します。
  7. [適用]をクリックします。
    QTS がターゲットを作成します。これは[ストレージ&スナップショット] > [iSCSI ストレージ] > [iSCSI ターゲットリスト]で表示できます。

3. iSCSI LUN の作成

iSCSI LUN は、ターゲットに接続することでイニシエータが利用できるストレージ領域の一部です。QTS には 2 種類のタイプがあります。

ブロックベース LUN は、ストレージプールからの領域を使用します
ファイルベース LUN は、ボリュームからの領域を使用します。

一般に、ブロックベース LUN は、より多くのスナップショットと仮想化機能をサポートするため、ファイルベース LUN に代わるべきものです。より詳細な比較については、本チュートリアル最後にある表をご覧ください。

  1. [ストレージ&スナップショット] > [ストレージ/スナップショット]に進んでください。
  2. 次の方法のいずれかで LUN を作成します。
LUN タイプ手順
ブロックベース
  1. ストレージプールを選択します。
  2. [作成] > [新しいブロックベース iSCSI LUN]を選択します。
ファイルベース
  1. ボリュームを選択します。
  2. [作成] > [新しいファイルベース iSCSI LUN]を選択します。

このチュートリアルでは、ブロックベース LUN を作成します。

iSCSI 作成ウィザードが開きます。

  1. ストレージプールを選択します。
  2. 割り当てタイプを選択し、[次へ]をクリックします。
    割り当てタイプ説明
    シックインスタント割り当てQES は、LUN 作成時にプール領域を割り当てます。これは、接続された iSCSI イニシエーターに対して領域が利用可能であるようにするためです。
    シンプロビジョニングQTS は、必要な時点のみ LUN にストレージプール領域を割り当てます。これは、空き領域が無駄にならないため非常に柔軟性が高くなります。ただし、ストレージプールに空きが無くなった場合にはQTS は LUN にデータを保存できなくなります。
  3. LUN 名を指定します。
  4. LUN 容量を指定します。
  5. 任意:詳細な設定を行います。
    設定に関する詳細は、そのヒントをクリックしてください。
  6. [次へ]をクリックします。
  7. LUN をターゲットにマップします。
    iSCSI LUN をターゲットにマッピングすることで、iSCSI イニシエーターによるターゲットへの接続をターゲットが許可します。
  8. [次へ]をクリックします。
  9. サマリをレビューし、[完了]をクリックます。

QTS が iSCSI LUN を作成します。これは[ストレージ&スナップショット] > [iSCSI ストレージ] > [iSCSI ターゲットリスト]で表示できます。

4. iSCSI ターゲットと LUN の管理

[ストレージ&スナップショット] > [iSCSI ストレージ] > [iSCSI ターゲットリスト]に進み、iSCSI ターゲット、iSCSI LUN、およびそれらのマッピングを表示し、修正します。マッピングされた LUN はそのターゲットの下に階層化されて表示されます。

[ストレージ&スナップショット] > [ストレージ/スナップショット]に進んでブロックベースの iSCSI LUN のストレージステータスを表示することもできます。

注:

  • ファイルベース LUN は[ストレージ&スナップショット] > [ストレージ/スナップショット]にあるリスト内には表示されません。
  • ファイルベース LUN の正常性は、常にその親ボリュームと同じです。

5. Windows で Microsoft iSCSI イニシエーターを利用し、iSCSI ターゲットに接続する

Microsoft iSCSI イニシエーターは、Windows Vista や Windows Server 2008 を始めとするあらゆるバージョンの Windows に組み込まれています。それをダウンロードし、Windows 2003、Windows XP、Windows 2000 にインストールできます。

  1. Windows で、iSCSI イニシエーターを見つけ、実行します。
    ご利用の Windows バージョンによっては、Windows プログラム検索かまたは、[コントロールパネル] > [管理ツール]で見つけられます。
  2. 任意:Windows から iSCSI サービスを開始するかどうか求められたら、[はい]をクリックします。
  3. [ターゲット] > [ターゲット] で NAS IP アドレスを入力し、[クイック接続]をクリックします。

    利用できる iSCSI ターゲットを iSCSI イニシエータが探し、それを[探索済ターゲットリスト]に追加します。

  4. 任意:ターゲットに CHAP 認証用資格情報を追加します。
    NAS で CHAP 認証を設定すると、ターゲットは非アクティブのステータスになります。接続するには CHAP のユーザー名とパスワードを指定する必要があります。
    1. [探索済ターゲットリスト]内でターゲットを選択します。
    2. [接続]をクリックします。
    3. [詳細[をクリックします。
    4. [CHAP ログオンを有効にする]を選択します。
    5. [名前]の下で、CHAP ユーザー名を指定します。
    6. [ターゲットシークレット]の下で、CHAP パスワードを指定します。
    7. [OK]そしてさらに、[OK]をクリックします。

    これでターゲットは接続済のステータスになります。
  5. 接続された LUN を Windows 内のディスクとしてフォーマットします。
    このガイドでは、Windows 10 を使用します。古い Windows バージョンでは、[ディスク管理]を使用する必要があります。
    1. [ストレージ]を検索し、実行します。

    2. [ストレージ領域の管理]をクリックします。

    3. [新しいプールとストレージ領域を作成]をクリックします。
    4. 1 つまたは複数の iSCSI LUN を選択してから、[プールを作成]をクリックします。

    5. プールフォーマッティングオプションを指定し、[ストレージ領域を作成]をクリックします。
      iSCSI LUN 領域が Windows 内のドライブとして現れます。



6. Mac OS で globalSAN iSCSI イニシエーターを利用し、iSCSI ターゲットを作成する

Mac OS にはデフォルトでは、iSCSI イニシエータークライアントが含まれていません。QNAP NAS 上の iSCSI ターゲットに接続するためには、サードパーティ製の iSCSI イニシエーターをインストールする必要があります。このチュートリアルでは、GlobalSAN iSCSI initiatorを使用します。

  1. Mac OS で、globalSAN iSCSI Initiator for OS X をダウンロードします。
    このソフトウェアには Mac OS X 10.4 以降が必要です。詳細は、http://www.studionetworksolutions.com/globalsan-iscsi-initiator をご覧ください
  2. [システム設定]に進みます。
  3. globalSAN iSCSI initiatorの上でダブルクリックします。
  4. [+]をクリックし、[Portal/Group]を選択してください。

  5. 名前を指定します。
  6. NAS DNS 名または IP アドレスを指定し、[Add]をクリックします。

  7. 左側のリスト内でターゲットを選択します。

  8. iSCSI ターゲットに接続するために使用する IP アドレスを選択します。
  9. [接続]をクリックします。
  10. 任意:[Initialize]をクリックします。
    これがターゲットへの初めての接続であれば、Mac OS はディスクをフォーマットするかどうかを尋ねます。

    ターゲットのステータスは[Connected]に変わります。新しいドライブが使用可能になり、Mac OS のデスクトップに表示されます。

7. Linux で Open-iSCSI Initiatorを利用し、iSCSI ターゲットを作成する

Linux Open-iSCSI Initiatorは、Ubuntu 8.04 LTS 以降には組み込まれています。Ubuntu に関する詳細は、http://www.ubuntu.com をご覧ください。

  1. Open-iscsi パッケージをインストールします。
    次のコマンドを実行します。
# sudo apt-get install open-iscsi
  1. 任意:CHAP 資格情報を iscsid.conf に追加します。
    1. ファイルを編集します。
      次のコマンドを実行します。
# vi /etc/iscsi/iscsid.conf
    1. ターゲット CHAP のユーザー名を node.session.auth.username の下に追加します。
    2. CHAP パスワードを node.session.auth.password の下に追加します。
    3. 保存してからファイルを閉じます。
    4. Open-iscsi Service サービスを再起動します。
      次のコマンドを実行します。
# /etc/init.d/open-iscsi restart
  1. NAS 上の全 iSCSI ターゲットを探索します。.
    この例では、NAS IP アドレスは 10.8.12.31 で、デフォルトの iSCSI ポートは 3260 です。
    次のコマンドを実行します。
# iscsiadm -m discovery -t sendtargets -p 10.8.12.31:3260
  1. 利用できる iSCSI ノードを確認します。
    次のコマンドを実行します。
# iscsiadm -m node
  1. 任意:接続したくないノードは削除します。
    次のコマンドを実行します。
# iscsiadm -m node --op delete --targetname THE_TARGET_IQN
  1. open-iscsi サービスを再起動し、利用できるすべてのノードにログインします。
    次のコマンドを実行します。
# /etc/init.d/open-iscsi restart

Linux がログインメッセージを表示します。例:
Login session [iface: default, target: iqn.2004-04.com:NAS:iSCSI.ForUbuntu.B9281B, portal: 10.8.12.31,3260] [ OK ]

  1. dmesg でデバイスステータスを確認します。
    次のコマンドを実行します。
# dmesg | tail
  1. パーティションを作成します。
    この例では、デバイス名は /dev/sdb です。次のコマンドを実行します。
# fdisk /dev/sdb
  1. パーティションをフォーマットします。
    次のコマンドを実行します。
# mkfs.ext3 /dev/sdb1
  1. ファイルシステムをマウントします。
    次の 2 つのコマンドを実行します。
# mkdir /mnt/iscsi

# mount /dev/sdb1 /mnt/iscsi/

ストレージ を利用する利用可能ができました。

その他の Linux コマンド

アクションコマンド
iSCSI LUN の I/O 速度をテスト# hdparm -tT /dev/sdb1
ホスト上のターゲットを探索# iscsiadm -m discovery --type sendtargets --portal HOST_IP
ターゲットにログイン# iscsiadm –m node --targetname THE_TARGET_IQN --login
ターゲットからログアウト# iscsiadm –m node --targetname THE_TARGET_IQN --logout
ターゲットを削除# iscsiadm –m node --op delete --targetname THE_TARGET_IQN

8. 参照:ブロックベース LUN とファイルベース LUN の機能比較

機能名ブロックベース LUNファイルベース LUN
VAAI フルコピー
VAAI ブロックゼロイング
VAAI ハードウェア支援ロッキング
VAAI シンプロビジョニングと領域の再利用
シンプロビジョニング
領域の再利用
次でサポート:VMware ESXi with VAAI、Windows Server 2012 以降、Windows 8 以降
Microsoft ODX
LUN インポート/エクスポート
LUN スナップショット親ボリュームのスナップショットを作成する必要があります。

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